印象や雰囲気を決めるものって？
あなたが纏うオーラの正体

2021.12.10

LIV,編集部が読者の皆様にお知らせしたい選りすぐりのNEWSを、ファッションエディター乙部アンのミニエッセイとともにお届けする連載。
今回は、目には見えないけれどたしかに印象を左右している“オーラ”についてのお話です。

「あの人ってオーラあるよね」「隠しきれないオーラがあるんだよ」
——そう時折日常会話にも使われるように、
私たちはそれぞれの人からそれぞれのオーラを
いつのまにか感じているようだ。

オーラとは言葉で説明するならば、
なんとなくの雰囲気だったり、そのときに受ける印象だったり…
いわばその人が無意識的に放つ存在感を指す。
それは目には見えないものなのだけれど、
どことなく怪しいものというわけではなく
“視覚化されていない、けれどたしかにあるもの”という認識だ。

では、そのオーラという目には見えないものは
どうやってつくられるのだろう？

それは、他人からパッと見ただけでは分からないその人の内面や
生活する環境が決めているのではないか、と私は思う。

たとえば好きなもの、素敵なものばかりに囲まれて過ごしている人と
どこか居場所がなく、そんなに好きでもないものに囲まれている人とでは
きっと印象や雰囲気…つまりオーラが違ってくるように思う。

部屋の中や日々の生活は、通常他人に見せるものでも見られるものでもない。
けれど、その“見られていない時間”こそがオーラをつくるのだ。

さりげなく飾られている絵画。毎日の食事で使う器。
絵画はなくても生活はできるし、お皿だって食べ物がのればなんだっていいという人もいる。

けれど、だれにも評価されないところをどう丁寧に生きているか、
大切にこだわっているかというのは
その人が纏うオーラを決定づける。
目に見えないそれが時に、美醜や持って生まれたものすべてを凌駕してしまうのは
きっとその人の生き様や考え方、価値観、趣味趣向などすべてを含むものだからにほかならない。

イラストレーターの緒方環さんが手がける作品は
繊細な墨の濃淡がなんとも洗練されていて、モダンでありながら日本の伝統美さえ感じられる。
独創的でありながらシンプルかつミニマルな魅力は、彼女の魅力そのもので
作品からは強く静かな生命力を感じる。
だから彼女が描く凛としなやかな女性には心を掴まれるし
一枚の絵画は部屋の雰囲気を丸ごと素敵に変えてしまう。
たったひとつのシンプルな器でさえも、それを使う時間に特別な魔法をかけてしまうのだ。

コロナ禍を経て、自分の内面や部屋で過ごす時間をより大切にするようになった私たち。
磨かれた内なる時間をたっぷりと纏い、大切な人に会いに行く。