story01. 地曳いく子さん
“アニヤ・ハインドマーチ”のバッグ

自他ともに認める本当におしゃれな人は、いったいどんなものを購入し、愛用しているのでしょう？
そのアイテムへの愛とファッション哲学を思う存分語っていただくこの連載。初回のおしゃれスペシャリストは、著書も大人気のスタイリスト・地曳いく子さんです。

ニューノーマルな毎日に
ジャストな優秀バッグ

バッグは少数精鋭主義の私、今の名品は“アニヤハインドマーチ”のバッグ。昨年、ご縁があって出合ったものです。
このバッグのどんなところが名品かというと・・・すべてにおいて「ちょうどいい」ところ！

まず、ブランドの発祥地である英国らしい端正なフォルムと、“アニヤ”ならではの遊びゴコロのバランスがちょうどいい。
かっちりとしたスクエアフォルムに光沢が美しいレザーは、大人のきれいめスタイルと好相性で、銀座でのランチミーティングやちょっとしたディナーはもちろん、歌舞伎の観劇などにも浮かずにマッチしてくれます。

一方で、ブランドのアイコンであるリボンのモチーフが効いているので、気張り過ぎないきちんと感がなんとも絶妙で。
どこか今っぽいハズシも感じられるので、ロングストラップをクロスボディにして、デニムと合わせても品よくカジュアルに仕上がるんです。

そして、デザイン性と機能性のあんばいもちょうどいい。
コンパクトに見えて意外と容量があるから、長財布からコスメポーチなど必要なものは美しく収まるし、外ポケットにはスマホやカードケースなどを入れておけば、いちいち開け閉めする必要もなし。
バッグには見た目のかわいらしさが欠かせないけれど、所作を綺麗に見せる使い勝手だって同じくらい重要。そのふたつをバランスよく両立したのがこの「Postbox Bag」の名品たる所以です。

生活様式が変わったら、
ファッションも変化する

予想もしなかった世界の変化を目の当たりにして、私たちの日常は大きく変わってしまいましたよね。その変化の中でもさらに、この前までは家の中で自粛しなければならなかったものが、今はきちんと距離をとりながらもだれかと関わり合いをもって過ごしている――。

それはファッションも同じで、他人の目に触れないジャージ生活から、外に出て少しずつおしゃれをすることも今は必要になってきました。
そんなとき、部屋着のダラダラ気分を吹き飛ばしてくれるのが、私にとってはこのバッグ。

実は、少し前までバッグは大きめが多かったのですが、生活様式が変わるとともに今は小さめにシフトしています。
中でもこのバッグは、頑張りすぎず、でも背筋の伸びるようなきちんと感で、今の自分に「ちょうどいい」感じ。週に2回以上は必ず登板する、愛すべき私の名品です。

地曳いく子さんの名品‖
“アニヤハインドマーチ”のバッグ

今月のおしゃれスペシャリスト‖

地曳いく子／多くの女性ファッション誌でのスタイリングのみならず、数々の書籍も重版続出の人気スタイリスト。アンテナの高さとファッション感度のよさはレジェンド級で、30年以上のキャリアの中で作り上げたトレンドは数知れず。業界内にもファンが多い。これまで出版された著書「服を買うなら捨てなさい」（宝島社）、「おしゃれは7、8割でいい」（光文社）、「若見えの呪い」（集英社）に続き、先日発売されたばかりのエッセイ集「日々是混乱　これが私のニューノーマル」（集英社）は、すでに大反響。

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ファッションのみならず、話題のドラマ、映画、音楽、旅行、グルメ――多方面で感度の高いいく子さんならではの、日々の出来事を綴ったエッセイ集。正解のない時代、そしてお手本のいない大人の生き方のヒントが詰まっています。